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口頭

NbドープしたSrTiO$$_{3}$$に対して微小入射角で高速重イオン照射した際に形成される表面ナノ構造

石川 法人; 藤村 由希; 近藤 啓悦; Szabo, G. L.*; Wilhelm, R. A.*; 小河 浩晃

no journal, , 

SrTiO$$_{3}$$等のセラミックスに対して高速重イオンを微小入射角で照射すると、ヒロックチェーン(イオンの飛跡に沿って、複数個並んで形成されるナノヒロック)が表面付近に形成されることが知られている。我々は、ヒロックチェーンの形態・性状をAFM(原子間力顕微鏡)とSEM(走査型電子顕微鏡)を利用して、詳細に調べた。その際に、全く同じヒロックチェーンを、AFMとSEMのそれぞれで観察することに成功した。AFMの観察データは、先行研究の示す通りに、ヒロックチェーンが形成されていることを示している一方で、SEMの観察データは(同じヒロックチェーンを観察しているにもかかわらず)ヒロックチェーンをつなぐ黒い線状コントラストも現れることが判明した。新しいSEMデータをもとに、ヒロックチェーンの形成メカニズムについて推論する。

口頭

周期ポテンシャル中の磁壁運動に伴う創発インダクタンス

家田 淳一; 山根 結太*

no journal, , 

電流によるスピントルクで磁化構造が運動状態になると、その反作用としてスピン起電力が生じる。この一連の過程を回路に生じたインダクタンスと見なす、いわゆる「創発インダクタンス」に注目が集まっている。目下の課題として、インダクタンスの符号が正負どちらも観測されており、その物理機構の解明が求められている。本講演では、モデル系として周期ポテンシャル中にトラップされた磁壁の交流電流駆動を集団座標の方法で調べ、上述の課題に対する見解を示す。

口頭

空間的に非一様な超伝導体に対する超高速シミュレーション手法

永井 佑紀

no journal, , 

超伝導ナノデバイスのシミュレーションを行うためには、磁束の侵入や欠陥導入などの非一様な状況においても高精度に計算する手法を開発することが必要である。しかしながら、ボゴリウボフドジャン法は行列の対角化問題であるために、大きな超伝導体での計算を精度よく高速に行うことは難しかった。この問題を解決するために開発した局所クリロフボゴリウボフドジャン法(LK-BdG法)についてのシンポジウム講演を行う。この講演はシンポジウム講演「時空間制御による超伝導ダイナミクス研究の最前線」の一つである。自己無撞着計算であればシステムサイズの1乗、状態密度などの局所量であればシステムサイズに依存しない計算量で実行が可能となった。これにより、5000万次元以上の行列に対する問題を解くことが可能となり、磁束集団などこれまでシミュレーションが不可能であった領域のシミュレーションが可能となった。

口頭

ミュオン触媒核融合素過程計測へ向けた固体水素標的

奥津 賢一*; 木野 康志*; 中島 良太*; 宮下 湖南*; 安田 和弘*; 山下 琢磨*; 岡田 信二*; 佐藤 元泰*; 岡 壽崇; 河村 成肇*; et al.

no journal, , 

ミュオン触媒核融合($$mu$$CF)は、負ミュオンがミュオン分子dd$$mu$$を形成し分子内で核融合反応($$mathrm{dd}mu rightarrow {}^{3}mathrm{He} + mathrm{n} + mu + 3.27~mathrm{MeV}$$もしくは$$mathrm{t} + mathrm{p} + mu + 4.03~mathrm{MeV}$$)を起こし、これを次々と繰り返す反応である。我々は$$mu$$CFの素過程の研究のため、固体水素標的を真空槽中に作製し基礎実験を行っている。本発表では、固体水素標的の形状、状態などの観測の他に$$mu$$CF実験での実用性などについて報告する。

口頭

重い電子系超伝導体CeCoIn$$_5$$におけるNi置換効果とZn置換効果

酒井 宏典; 徳永 陽; 芳賀 芳範; 神戸 振作; Ronning, F.*; Zhu, J.-X.*; Thompson, J. D.*; 小手川 恒*; 藤 秀樹*; 鈴木 康平*; et al.

no journal, , 

重い電子系超伝導体CeCoIn$$_5$$は、常圧で反強磁性量子臨界点近傍に位置する物質である。実際、In元素を、CdやHg, Zn元素で少量置換すると反強磁性秩序が誘起できることが知られている一方、Sn置換は、反強磁性スピン揺らぎを抑えて、系を量子臨界点から遠ざけるように見える。ホールドープとしてZn置換の場合は、反強磁性と重い電子系常磁性状態との不均一電子状態が生じており、電子ドープとして考えられるCoサイトへのNi置換系においては、Sn置換と同様、一様な弱相関側への電子状態変化が微視的にIn核NQR実験から確認できた。

口頭

高品位Bi$$_{0.5}$$Na$$_{0.5}$$TiO$$_3$$の局所構造解析

米田 安宏; 野口 祐二*

no journal, , 

チタン酸ビスマスナトリウム(Bi$$_{0.5}$$Na$$_{0.5}$$TiO$$_3$$, BNT)は比較的大きな圧電特性を示すことから非鉛圧電体材料としての多くの研究が行われてきた。揮発性の高いビスマスやナトリウムを含む物質であることから焼成時に生成されるこれらの欠損によって化学両論的に正しいBNTを得ることが困難であった。近年の合成法の改良によって化学両論的な組成のBNTが得られるようになったため、改めて高品位のBNTを用いて構造解析を行った。局所構造解析の結果、高温領域ではビスマスが平均構造位置からシフトすることによって構造相転移を引き起こしていることがわかった。(論文アクセプト済)散漫成分はBragg反射に比べると微弱な散乱強度であるが、解析レベルのデータが得られているか評価する手法を考案したため、これについても報告する予定である。

口頭

ARPES・非弾性X線散乱・レーザーラマン分光で研究する少数キャリア半金属CeAsの結晶場-フォノン結合

新井 陽介*; 黒田 健太*; 筒井 智嗣*; 平井 大悟郎*; 片山 和郷*; 野本 拓也*; Shin, S.*; 久保田 正人; 芳賀 芳範; 鈴木 博之*; et al.

no journal, , 

セリウムモノプニクタイドは温度・磁場・圧力といった外場によって多様で複雑な磁気相が出現する。本研究ではフォノン分散とCe4f結晶場を測定し、その温度依存性としてフォノンと結晶場との多体相互作用に伴う変化を観測した。実験結果を踏まえ、これまでARPES測定で観測した電子ボソン結合との対応を議論する。

口頭

光電子分光によるUTe$$_{2}$$の電子状態,2

藤森 伸一; 川崎 郁斗; 竹田 幸治; 山上 浩志; 仲村 愛*; 本間 佳哉*; 青木 大*

no journal, , 

UTe$$_2$$に対して行った軟X線放射光($$hnu=565-800$$eV)による光電子分光実験の結果について報告したが、その後米国のグループが、より低エネルギーの放射光($$hnu=30-150$$eV)による高エネルギー分解能光電子分光実験の結果を報告した。この論文では、(1)フェルミ面は準一次元的なシートから構成されており、そのトポロジーはThTe$$_2$$に対するバンド計算の結果と一致する(2)Z点に3次元的な重いフェルミ面が存在する、と主張された。一方で、彼らの実験データは、我々が測定した軟X線領域の光電子スペクトルとは大きく異なっている。例えば5f状態を選択的に観測できる共鳴光電子スペクトルを比較すると、我々の4d-5f共鳴スペクトル($$hnu=736$$eV)では$$E_F$$付近に鋭い準粒子的なピークが存在しているのに対し、彼らの5d-5f共鳴スペクトル($$hnu=98$$eV)では$$E_F$$付近の強度が抑制され、むしろ高結合エネルギー側に強い強度を持っており、5f電子はより局在的に観測されている。これは、彼らの実験では表面敏感性が高いため、局在的な5f電子状態を持つ表面電子状態が支配的になっているためであると考えられる。講演では、両結果の比較と、さらに内殻光電子スペクトルの結果についても報告する。

口頭

軟X線光電子分光法による重い電子系物質EuNi$$_2$$P$$_2$$の電子状態の研究,2

川崎 郁斗; 藤森 伸一; 竹田 幸治; 山上 浩志; 辺土 正人*; 仲間 隆男*; 大貫 惇睦*

no journal, , 

EuNi$$_2$$P$$_2$$は2価と3価の中間価数状態を示し、極低温領域で重い電子状態を形成することが報告されている。前回の物理学会では価電子帯の角度分解光電子スペクトルについて紹介したが、観測されたEu$$^{2+}$$及びEu$$^{3+}$$ピークの強度比はメスバウアー測定等から報告されている価数値(2.5)から大きく異なっていた。今回はその起源を探るために、Eu3d-4f共鳴光電子分光測定を実施した。講演では、4f電子の価数及び電子状態についての詳細な議論を行う。

口頭

層状構造を持つウラン化合物U$$_2$$Pt$$_6$$Al$$_{15}$$の結晶構造と物性

芳賀 芳範; 常盤 欣文; 山本 悦嗣; 三宅 厚志*; 徳永 将史*

no journal, , 

U$$_2$$Pt$$_6$$Al$$_{15}$$の物性を報告する。10K及び25K付近に、磁気相転移を有する。両者は磁場中で異なる温度依存性を示し、その磁気特性は複雑である。同型の反強磁性体U$$_2$$Pt$$_6$$Ga$$_{15}$$と対比しつつ、それらの起源について議論する。

口頭

中性子散乱によるスピングラスの局在磁気励起の観測

古府 麻衣子; 河村 聖子; 村井 直樹; 石井 梨恵子*; 平井 大悟郎*; 有馬 寛*; 舟越 賢一*

no journal, , 

スピングラスの特徴はスピングラス転移温度の存在とその近傍での複雑な磁気緩和現象であり、実験・理論両面から研究が進められてきた。一方、スピングラス状態の磁気励起についての知見は殆ど得られていない。我々は、磁気秩序相から乖離した複数のスピングラス物質について中性子非弾性散乱測定を行った。その結果、スピングラス転移温度以下で、ボーズ因子でスケールされる局在磁気励起が普遍的に存在することがわかった。

口頭

ホイスラー合金Co$$_2$$MnSi薄膜におけるスピン偏極電子構造の温度依存性の観測

角田 一樹; 鹿子木 将明*; 桜庭 裕弥*; 増田 啓介*; 河野 嵩*; 後藤 一希*; 宮本 幸治*; 三浦 良雄*; 宝野 和博*; 奥田 太一*; et al.

no journal, , 

Co$$_2$$MnSiは少数スピン状態にギャップが開いており、多数スピンのみが伝導に寄与するハーフメタル強磁性体であることが理論的に予測されている。実際、Co$$_2$$MnSiを用いたトンネル磁気抵抗素子では2000%もの巨大な出力が報告されている。しかし、巨大磁気抵抗比は低温でのみ観測されており、室温では出力が300%程度に低下することが問題となっている。室温における性能低下の要因は、電子間相互作用に起因した多体効果や熱励起マグノンによる影響などいくつか理論的モデルが提唱されているが、低温から室温までのスピン偏極率を調べる実験手法が限られることから、有限温度におけるスピン偏極率低下のメカニズムは未解明のままである。本研究では、Co$$_2$$MnSi薄膜についてスピン・角度分解光電子分光を行い、バンド分散およびスピン偏極率の温度変化を詳細に追跡した。フェルミ準位近傍ではハーフメタル性を担うバルクバンドと、スピン偏極した表面バンドが混在していることが明らかとなった。また、スピン偏極率は温度の上昇に伴って低下しており、マグノンの熱励起を記述するブロッホの$$T^{3/2}$$則によって現象をよく説明できることが明らかになった。

口頭

軟X線磁気円二色性で探る単層VSe$$_2$$薄膜の磁性

角田 一樹; 竹田 幸治; 日下 翔太郎*; 小林 功佳*; 平原 徹*

no journal, , 

単層VSe$$_2$$は、二次元ファンデルワールス原子層物質の一種であり、2018年に室温以上のキュリー温度を有する強磁性体であることが報告された。しかし室温強磁性の発見直後に行われた角度分解光電子分光(ARPES)実験では、低温においても強磁性秩序を特徴づける交換分裂が観測されておらず、単層VSe$$_2$$における強磁性秩序の有無については未だに議論が続いている。通常の磁化測定では薄膜と基板の双方からのシグナルを検出してしまうためVSe$$_2$$の本質的な磁気特性を引き出すことは難しい。一方、放射光を利用したX線磁気円二色性(XMCD)は元素選択的なプローブであるため、上記の論争を解決する可能性を秘めている。本研究では、単層VSe$$_2$$の磁気特性を明らかにすることを目的にARPES、第一原理計算、XMCDを行った。その結果、磁場下で単層VSe$$_2$$からの明瞭なXMCDシグナルを検出することに成功した。また、温度依存XMCDにより、6Kにおいても長距離強磁性秩序は存在しないことが明らかになった。しかし、隣接するVイオン間には短距離の強磁性相互作用が存在しており、単層VSe$$_2$$が強磁性秩序を示す寸前の物質であることを明らかにした。

口頭

拡張長岡強磁性の有限温度の性質

大西 弘明; 宮下 精二*

no journal, , 

粒子浴を含むハバード模型で、ハーフフィリングでの反強磁性状態と、ハーフフィリングから電子を一個取り除いた長岡強磁性状態の間で遷移が生じる機構を提案し、有限の電子密度に拡張した拡張長岡強磁性の絶対零度での性質を調べてきた。今回は、有限温度での解析を行い、強磁性相関がどのように発達するのか、遍歴電子系と局在スピン系の違いを議論する。

口頭

Fe$$_3$$O$$_4$$における相転移と負ミュオンx線

宮田 侑*; 髭本 亘; 鈴木 泰雅; 伊藤 孝; 二宮 和彦*; 久保 謙哉*; Chiu, I. H.*

no journal, , 

物質の電子状態を明確にする手法としての負ミュオンを用いたミュオン特性X線測定の開発を行っている。今回この手法を用いて低温で電子状態の変化を伴う相転移が起こるFe$$_3$$O$$_4$$において行った。この手法は原子核に捕まった負ミュオンが脱励起する際に放出するX線を解析することによって負ミュオン原子形成過程を明らかにする手法で、今回初めて温度依存性の測定を実施、結果を得た。講演ではFe$$_3$$O$$_4$$の温度依存による電子状態の変化をミュオン特性X線測定、特にその分岐比から議論する。

口頭

磁気構造中の異常速度に起因した内因性トルク

荒木 康史; 家田 淳一

no journal, , 

本講演では、強いスピン-軌道相互作用の存在下で、電流に起因して磁気構造に働くトルクの理論を議論する。スキルミオン等の磁気構造は、実空間内で電子が得るベリー位相に起因して、電子の輸送特性としてトポロジカル・ホール効果に寄与することが知られている。一方でトポロジカル絶縁体・ワイル半金属等の強いスピン-軌道相互作用の下では、運動量空間内に幾何学的構造(ベリー曲率)が強く現れる。運動量空間のベリー曲率は、電場と垂直方向に異常速度を誘起することにより、(内因性)異常ホール効果に寄与する。我々は、このような実空間と運動量空間のトポロジカルな性質が協働し、電流によって誘起される磁気構造のダイナミクスにも寄与することを見出した[1]。まず、強いスピン-軌道相互作用の下で現れるスピン-運動量ロッキング(SML)に基づき、電流誘起トルクのうち磁気構造および異常速度がもたらす寄与を、半古典的な現象論を用いて分類する。その結果として、輸送電流に起因した既知のスピン移行トルク(STT)及びスピン軌道トルク(SOT)の他に、異常速度由来の「内因性」トルクが存在することを示す。これは電子の異常速度が、SMLによりスピン偏極に変換されて現れるトルクである。内因性トルクは電子分布の緩和時間に依存せず、不純物が多い系でも安定して現れることが期待される。特に磁気構造内部では空間反転対称性が破れることにより、異常速度由来のトルクが優位な寄与をすることが期待され、本研究ではこれを「トポロジカル・ホール・トルク(THT)」と呼んで注目する。THTが発現する具体例として、バンド反転した強磁性金属での計算例を示す。図のように磁化に対応して2対のワイル点を持つような系を考え、その中での磁壁に働くTHTを見積もる。その結果として、通常の非断熱的STT($$beta$$-項)で$$beta$$~2としたものに相当する、大きなTHTが現れることを示す。これはワイル点近傍のベリー曲率,SML、及びワイル点間に現れるvan Hove特異点に起因したものであり、磁化の温度変化に伴うバンド構造の変調によって到達できることが期待される。[1] Y. Araki and J. Ieda, arXiv:2105.14922.

口頭

軸性磁気効果における磁化エネルギー流

下出 敦夫*; 荒木 康史

no journal, , 

Weyl fermionの古典的な作用はカイラル対称性をもつが、電磁場がある場合に理論を量子化すると破れてしまう。これはカイラル量子異常と呼ばれ、異常輸送現象を引き起こすといわれている。Weyl fermionは重イオン衝突実験で生成されるクォークグルーオンプラズマやWeyl半金属で実現しており、カイラル量子異常は高エネルギー物理のみならず物性物理においても重要な概念である。カイラル量子異常による異常輸送現象のひとつに、渦度によって電流が流れるカイラル渦効果というものがある。相対論的な系や対称性が高いカイラル点群に属する物性系は渦度があっても平衡状態にあるが、局所電流は非零であり、直観に反する。実はこの電流はすべて磁化電流であり、輸送実験では観測されないことを示すことができる。本講演では、軸性磁場によってエネルギー流が流れる軸性磁場効果について議論する。相対論的な系ではエネルギー流は運動量に等しいので、軸性磁場効果はカイラル渦効果と相反関係にある。物性系ではDirac/Weyl半金属をひねったり、磁化構造を設計したりすることで軸性磁場を実現することができるが、系は平衡状態にあるのでエネルギー流が流れるとは考えにくい。我々は相対論的なWilson fermionとDirac半金属Cd$$_{3}$$As$$_{2}$$をひねった模型を考えた。まず開放境界条件を課して対角化を行い、エネルギー流密度を計算したところ、バルク内部は非零であるが、表面の寄与によって平均的には0になることが見いだされた。一方で、軸性ゲージ場$${bf A}_5(x)$$に含まれる座標$$x$$をパラメタとみなして周期的境界条件を課し、エネルギー磁化および磁化エネルギー流を計算したところ、前述のバルク内部のエネルギー流密度とよく一致した。すなわち、軸性磁気効果によるエネルギー流はすべて磁化エネルギー流であり、輸送実験では観測されない。

口頭

カイラル反強磁性物質Mn$$_3$$Ge及びMn$$_3$$Snにおける微視的スピン状態

鈴木 泰雅; 髭本 亘; 伊藤 孝

no journal, , 

カイラル反強磁性物質であるMn$$_3$$Ge及びMn$$_3$$Snは、ゼロ磁場下で巨大異常ホール効果を示す物質として注目を集めている。これらの物質の異常ホール効果は、ベリー曲率やバンド構造のワイル点などに起因する内因性機構によるものと考えられている。一方カゴメ格子型の結晶構造を持つ反強磁性物質であるためにスピンフラストレーション状態にあることが知られているが、それによる微視的スピン状態は明らかになっていない。そこで我々はミュオンスピン回転緩和法($$mu$$SR)を用いてこれらの物質の微視的なスピン状態をJ-PARC, PSI, TRIUMFにおいて調べた。その結果、Mn$$_3$$Geでは磁気秩序状態を示すミュオンスピン回転がゼロ磁場下で観測される一方、カゴメ格子を有する面方向において、ミュオンスピン緩和信号の初期アシンメトリーと緩和率が温度に強く依存することが見られた。講演では異方性を含めた$$mu$$SR測定の結果から微視的なスピン状態と異常ホール効果について議論する。

口頭

URu$$_{2}$$Si$$_{2}$$の隠れた秩序の群論的考察,2

神戸 振作; 徳永 陽; 酒井 宏典; 芳賀 芳範

no journal, , 

URu$$_{2}$$Si$$_{2}$$の隠れた秩序について考察する。最近の研究により、隠れた秩序状態の電子状態対称性はいくつかの空間群に限られている。しかし、それは同じ高い対称性を持つため、その区別は依然として困難である。そこで本研究では、外部磁場や一軸圧力などの外場によって、隠れた秩序状態の対称性がどのように下がることが想定できるかを考察する。同じ高い対称性を持つ状態もその空間群によってその下がる行き先の空間群が異なることがあるので、その差異を利用して区別が可能になると考えられるからである。今回は時間反転対称性の有無も含めて可能な秩序パラメーターを議論する。

口頭

NMRによるUTe$$_2$$の磁気揺らぎの研究

徳永 陽; 酒井 宏典; 神戸 振作; Opletal, P.; 常盤 欣文; 芳賀 芳範

no journal, , 

UTe$$_2$$についてはその発見当初から、ウラン系強磁性超伝導体との類似性が指摘されてきた。上部臨界磁場H$$_{c2}$$の値は全磁場方向でパウリ・リミットを超え、その異方性は磁化の異方性と強く相関している。また磁化困難軸(b軸)方向では強磁場中でH$$_{c2}$$は異常な増大を示し、35Tのメタ磁性磁場に向かってリエントラント的挙動を示す。さらにb軸からc軸方向に磁場を傾けると新たな磁場誘起超伝導が40T以上で出現する。このようなH$$_{c2}$$の異常は超伝導の出現に強磁性的なゆらぎが深く関与していること示唆しており、ウラン系の強磁性超伝導体で議論されてきた、「強磁性ゆらぎによるスピン三重項超伝導対の形成」および「強磁性ゆらぎを介した磁場による対形成引力の制御」というコンセプトがUTe$$_2$$においても成り立つことを期待させる。講演では新たに行った$$^{125}$$Te-NMR実験の結果をもとに、低温での磁気ゆらぎの特性について議論する予定である。

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